自己コントロール感を与えない
自己コントロール感とは、自分の行動を、自分で色々と選んだり決めたりすることを言います。
これが、「幸福度を示す指標の中では一番大切だ(1)」みたいな話もあるくらい、大切な感覚なんですね。実際日本で行われた研究でも、幸せに影響している要因として、1位から、健康、人間関係、自己コントロール感となったわけです(2)。子どもの成功や幸せを願う立場にある人にとっては、自己コントロール感を子どもたちに与えることが、非常に大切になってくるわけですね。
みなさんご存じ、報酬に関するモチベーションの話をします。これは流石にほとんどの先生が知っていると思いますが、、、
人間の動機づけには2種類あって、罰やご褒美といった外部からの報酬を理由に行動することを「外発的動機付け」と言うのに対し、自身の自信や達成感を求めて行動することを「内発的動機付け」と言います。そして、内発的動機付けで行動する方が、高いパフォーマンスを発揮し、高い学習効果を得られる傾向にあります。
ダニエル・ピンクさんの著書も有名ですよね。
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか (講談社+α文庫) [文庫] ダニエル・ピンク; 大前 研一
また、心理学者のデシとライアンが自己決定理論という、人がどのようにして内発的動機付けまでに至るかという理論を1985年に提唱しました。
それによると、特に3つの基本的欲求を満たすことが、内発的動機付けの基本で、幸せへの道だとしていて、
自己効力感(自分には能力があるという感覚)
人間関係(様々な人とつながっているという安心感)
自律性(自己コントロール感)
となっているわけです。
結構年数が経っていますが、今でも自分で何かを選択し、決め、行動することに幸せを感じることは変わっていないようですね。
事実、自己コントロール感の高さは幸福度だけではなく、健康的な体型を維持していたり、長寿だったり、良い職に就いていたり、高収入だったり、メンタルも安定していたり、というデータはたくさん出ています。こりゃ人生勝ち組ですわ。笑
そこら辺は、ポールタフさんの著書でも述べられていました。
成功する子失敗する子 何が「その後の人生」を決めるのか/ポール・タフ/高山真由美
前置きが長くなりました。どれだけ自己コントロール感が大切かというのはわかっていただけたかと思います。
では、実際の教育現場ではどうでしょう?
・受ける教科は決められている(まぁこれは仕方ない)
・宿題はさせられる
・係などもさせられる
・休み時間の遊びを強制される
など、もっと酷いものでは、
・休み時間自主的に学習をしていたのに、「宿題は家でするもの。」といわれる。
・授業の先の内容を学習していて、「それは習っていません。」と言われ×にされる。
・遊びなどでも、正式ルールに則って、細かいルールまで決められる。
などなど、どれも聞いたことがある話ですよね。
過去に振り返ってみてわかると思いますが、子ども時代、自分で選ぶ余地がなかったことは、想像に易いと思います。
実際に親から「勉強しなさい!」と言われて喜んでするお子さんはいないはずです。親御さんの心配の気持ちはわかりますが、逆効果ですよね(^^;
学校でも教師の操り人形が如く、行動させられています。かわいそうにも程があります。
仕方のない部分はありますが、これをどのようにしたら良いのか、数回にわたって解説していこうと思っています。